本記事の概要
- 災害時に本当に頼りになるのは「顔の見える関係」である
- 備蓄や防災グッズだけでは足りない「人とのつながり」という見えない備えの重要性
- 楽しみながら防災意識を高めるイベントの紹介
- 八王子の地形・避難所・地域特性を踏まえた現実的な防災コミュニティの作り方
- がんばりすぎない、日常の延長線上でできる「お互いさま」の関係づくりのコツ
「遠くの親戚より、近くの他人」の本当の意味

「PTA活動って本当に必要なんですか?」
確かに、忙しい毎日の中で時間を割いてまで、なぜPTA活動をするのか。
その答えを考える時、私たちはいつも「平常時」の視点で考えがちです。
でも、視点を少し変えてみてください。
もし明日、大きな地震が来たら?
その時、あなたの隣にいるのは誰ですか?
道路が寸断されて、電話も繋がらない。そんな時、本当に頼りになるのは:
- 遠くに住む親戚?
- 都心の会社にいる夫?
- まだ来ない救急車?
どれも大切ですが、発災直後の数時間〜数日間、本当に頼りになるのは「近くにいる顔見知り」です。
災害時、本当に頼りになるのは「遠くの親戚」より「近くの他人」
でも、その「他人」が「知り合い」である必要があります。
備蓄できないもの、それは「助け合える関係」

防災の準備というと、多くの人がこんなリストを思い浮かべます。
- 3日分の水と食料
- 懐中電灯と乾電池
- 救急セット
- ラジオ
- 非常用トイレ
確かに、これらは大切です。でも、もう一つ、どんなに準備しても「備蓄できないもの」があります。
それが、「困った時に声をかけられる人」です。
災害時に直面する「見えないリスク」
大規模災害が起きた時、私たちが直面するのは物資不足だけではありません。
| リスク | 具体的な状況 | 物だけでは解決できない理由 |
|---|---|---|
| 情報不足 | どこに避難すればいい?水はどこでもらえる? | 地域の情報は地域の人しか知らない |
| 孤立 | 高齢者や小さい子どもを抱えた家庭の孤立 | 「助けて」と言える相手がいない |
| 不安 | 見知らぬ人ばかりの避難所での心理的負担 | 知っている顔があるだけで安心感が違う |
| 物資配分 | 限られた物資を公平に分ける難しさ | 信頼関係がないと対立が生まれる |
防災グッズは「モノ」を備えるもの。PTA活動は「人とのつながり」を備えるものです。
八王子で大地震が起きたら、何が起こるのか

私たちが住む八王子は、美しい自然に囲まれた素晴らしい場所です。
でも同時に、その地形は災害リスクとも隣り合わせです。
八王子の地理的特性と災害リスクの例
高尾山の麓という立地:
- 土砂災害のリスク
- 山間部の孤立可能性
- 道路寸断による物資不足
浅川・多摩川沿いの地域:
- 水害のリスク
- 橋の通行止めによる分断
- 避難所への移動困難
住宅密集地と坂道の多さ:
- 火災延焼のリスク
- 高齢者の避難困難
- 近隣同士の助け合いの必要性
八王子市のハザードマップは市のウェブサイトで確認できます。
自分の住む地域のリスクを知っておくことが、防災の第一歩です。
公的支援が届くまでの「72時間」
大規模災害時、消防・警察・自衛隊などの公的支援が本格的に機能するまでには、最低でも72時間(3日間)かかると言われています。
その間、頼れるのは:
- 自分自身(自助)
- 家族
- 近隣住民(共助)
だけです。
この「共助」の部分を担うのが、普段からのPTA活動や地域コミュニティなのです。
PTAネットワークが「命を守る力」になる5つの理由

では、具体的にPTA活動がどのように防災力につながるのか、見ていきましょう。
【理由①】学校の地理を知っている
多くの小学校は、災害時の指定避難所になります。
PTAメンバーが知っていること:
- 校舎のどこにトイレがあるか
- 水道の場所
- 備蓄倉庫の位置
- 校庭の安全な場所
- 裏門・通用口の場所
これらの情報は、パニック状態の避難所で「誘導役」として機能します。
【理由②】顔と名前が一致している
避難所で「〇〇ちゃんのママ!」と呼び合える関係。
これだけで:
- 子どもが迷子になった時に探しやすい
- 「うちの子を少し見ててもらえますか?」と頼める
- 情報を共有しやすい
- 物資を譲り合える
見知らぬ人ばかりの避難所と、知り合いがいる避難所。その心理的安心感の差は計り知れません。
【理由③】連絡網が機能する
災害時、電話は繋がりにくくなります。でも、PTAのLINEグループやオープンチャットがあれば:
- 安否確認ができる
- 「〇〇小学校の避難所、水が足りません」などの情報共有
- 「うちに赤ちゃん用のミルクあるよ」などの助け合い
【理由④】要支援者の情報を共有できている
普段のPTA活動を通じて、さりげなく知っている情報:
- 「〇〇さんのおばあちゃん、足が不自由だったな」
- 「△△くん、アレルギーがあるから食べ物に注意が必要」
- 「××さん家は赤ちゃんがいる」
こうした情報が、いざという時の「声かけ」「見守り」につながります。
【理由⑤】「お互いさま」の文化ができている
普段から「ありがとう」「助かったよ」と言い合える関係があれば、災害時も自然に助け合えます。
- 「困った時はお互いさま」
- 「うちにあるものを分けるよ」
- 「一緒に乗り越えよう」
この文化は、一朝一夕には生まれません。平時のPTA活動の積み重ねが、いざという時の「助け合いの土台」になるのです。
防災は「備蓄」だけでなく、「文化」を育てることでもあります。
楽しみながら防災力を高める「3つのイベント」

「防災訓練」と聞くと、真面目で堅苦しいイメージがあるかもしれません。でも、八王子の自然を活かせば、楽しみながら防災意識を高めることができます。
【イベント①】高尾山で「防災ピクニック」
企画内容:
親子で高尾山の麓や裏高尾をハイキングしながら、非常食の試食会を開催。
学べること:
- 非常食の味比べ(子どもが食べられるか確認)
- 山道での安全な歩き方
- 水の確保方法(湧き水の場所)
- 避難経路の確認
楽しみ方:
「今日は特別なお弁当だよ!」と、非常食を「冒険ごはん」として楽しむ。アルファ米やレトルトカレーを、青空の下で食べる体験。
八王子ならではのポイント:
- 高尾山口駅からのアクセスの良さを活かす
- 山頂からの景色を見ながら「この町を守るんだ」という意識を育む
- 裏高尾の静かなコースで、落ち着いて防災について話し合える
【イベント②】校庭で「炊き出し訓練」
企画内容:
学校の校庭で、保護者と子どもが一緒に炊き出しを体験。
実施例:
- カセットコンロでご飯を炊く
- ポリ袋調理法(湯煎で作る簡単料理)
- 限られた食材での工夫
- 配膳の練習
学べること:
- ライフラインが止まった時の調理法
- 少ない食材で多くの人に分ける工夫
- 衛生管理の重要性
楽しみ方:
「キャンプごっこ」として、子どもたちは大喜び。親も「意外と美味しい!」と発見がある。
【イベント③】浅川周辺で「水害を知る防災さんぽ」
企画内容:
ハザードマップを見ながら、実際の地形と照らし合わせて親子で歩く。
チェックポイント:
- 「ここまで水が来たことがあるんだって」と過去の水害の話を聞く
- 「もし大雨の時にここにいたら、どこへ逃げる?」を一緒に考える
- 普段遊んでいる河川敷の「別の顔」を知る
メリット:
- 地図と現地をセットで見ることで、子どもでも危険な場所をイメージしやすくなる
- 「楽しい川」だけでなく、「気をつけるべき川」としての理解も深まる
「遊び」と「学び」をセットにすることで、防災は「がんばること」から「自然と身につくこと」に変わります。
「その時」のために、今できること

防災は「いつか」のためではなく、「明日かもしれない」ための備えです。
今日からできる小さな一歩
| アクション | 所要時間 | 効果 |
|---|---|---|
| PTAのLINEグループに参加する | 5分 | 災害時の連絡手段確保 |
| 学校の避難所を確認しに行く | 30分 | 避難経路の把握 |
| 近所の人に挨拶する | 1分 | 顔見知りを増やす |
| ハザードマップを見る | 10分 | 地域のリスク把握 |
PTAで共有しておきたい「命を守る情報」
地域の情報:
- 避難所の場所と収容人数
- 給水場所(道の駅八王子滝山など)
- 危険箇所(崖、河川)
- 一時避難場所(高台、公園)
家庭の情報:
- 緊急連絡先
- アレルギー情報
- 持病や必要な薬
- ペットの有無
地域資源の情報:
- 井戸のある家
- 発電機を持っている家
- 医療従事者がいる家庭
これらの情報は、プライバシーに配慮しながら、「困った時に助け合える範囲」で共有しておくことが大切です。
「お互いさま」が当たり前に言える町に

八王子には、温かい地域コミュニティがまだたくさん残っています。
高尾山の麓で、浅川のほとりで、商店街で、直売所で。
「おはよう」
「ありがとう」
「助かったよ」
そんな小さな言葉を交わせる関係が、いざという時の「お互いさま」につながります。
子どもたちに伝えたい「地域の力」
「この町には、困った時に助けてくれる人がたくさんいるんだよ」
そう子どもに言えることは、何よりの安心です。
PTA活動を通じて、子どもたちは学びます。
- 「〇〇ちゃんのパパが、避難所で誘導してくれた」
- 「△△さんが、食べ物を分けてくれた」
- 「みんなで協力したら、乗り越えられた」
この経験は、子どもたちの「地域への信頼」と「助け合いの心」を育てます。
最後に:防災は「つながり」から始まる

いかがでしたか?
防災というと、備蓄や防災グッズに目が行きがちです。でも、本当に大切なのは「人とのつながり」かもしれません。
- 顔と名前が一致している
- 困った時に声をかけられる
- 「お互いさま」と言い合える
そんな関係を、平時のPTA活動を通じて少しずつ育てていく。
それが、家族を守る「見えない備え」になります。
PTA活動は、「今日の楽しみ」と「明日の安心」を同時に育てる、一石二鳥の活動なのです。
この「自然派ライフ」では、これからも八王子・三多摩エリアの暮らしに寄り添った、地域とのつながり方や、子どもと過ごす心地よい時間のヒントをお届けしていきます。
防災は、決して「怖いもの」ではありません。
「備える」というより、「つながる」。
そんなふうに考えれば、防災はもっと身近で、温かいものになります。
- 高尾山でピクニックをしながら非常食を食べる。
- 校庭で炊き出しをしながら、近所の人と笑い合う。
- 避難所の場所を確認しながら、子どもと散歩する。
そんな日常の延長線上に、防災があります。
そして、もし「地域とのつながりをもっと深めたい」と思ったら、地元の生産者さんの野菜を選ぶことも、立派な地域貢献です。
- 「この野菜、〇〇さんが作ってくれたんだよ」
- 「困った時は、お互いさまだね」
そんな会話が生まれる食卓は、家族の絆だけでなく、地域の絆も育ててくれます。
今日も、あなたらしい「心地よい選択」を。
そして、次のPTA集まりがあったら、隣の人に笑顔で「こんにちは」と声をかけてみてくださいね。
その小さな一言が、いつか家族を守る「命綱」になるかもしれません。