本記事の概要
- 春に「だるい・眠い・イライラする」が起きやすい理由
- 自律神経の基本的なしくみ(交感神経と副交感神経)
- 子育てママの睡眠不足と春の寒暖差が重なるとどうなるか
- 寝る前の10分でできる、自律神経を整える5つの小さな習慣
- 「朝」にちょっとだけ意識したいこと
- 「がんばる」より「いたわる」が、春の眠りを変える
春になると「なんとなく調子が悪い」、それ、気のせいじゃないかもしれません

あたたかくなってきたはずなのに、体がだるい。眠いのに、夜はなぜか目がさえる。
朝起きても、なんだかすっきりしない。
春にそんな「なんとなく不調」を感じたこと、ありませんか。
じつはこれ、多くの場合「自律神経の乱れ」が関係しています。とくに、日々子育てに奮闘しているママにとって、春は体と心のバランスが崩れやすい、少し注意が必要な季節なんです。
この記事では、春に自律神経が乱れるメカニズムをわかりやすくお伝えしながら、忙しいママでも寝る前の「10分」で実践できるセルフケアをご紹介します。
がんばるための記事ではありません。がんばっている自分を、ちょっとだけいたわるための記事です。
そもそも「自律神経」って、なにをしているの?

「自律神経」という言葉はよく耳にしても、実際にどういうものなのか、ちょっとわかりにくいですよね。
自律神経は、わたしたちの意思とは関係なく、24時間休まずに働いている神経のことです。心臓の拍動、呼吸、体温調節、消化、どれも「よし、動け」と意識しなくても勝手に動いてくれている。それを裏で支えているのが自律神経です。
「アクセル」と「ブレーキ」、2つの神経のバランス
自律神経には、2つの種類があります。
| 種類 | 役割 | 優位になるとき |
|---|---|---|
| 交感神経 | 体を「活動モード」にする(アクセル) | 日中の活動時、緊張しているとき |
| 副交感神経 | 体を「休息モード」にする(ブレーキ) | 夜のリラックス時、睡眠中 |
この2つがシーソーのように交互にバランスをとることで、わたしたちの体は「動くとき」と「休むとき」を自然に切り替えています。
自律神経は、体の「自動運転システム」。自分では操作できないからこそ、環境の変化に左右されやすいのです。
春は「自律神経にとって、いちばん過酷な季節」だった

では、なぜ春にこのバランスが乱れやすくなるのでしょうか。理由は大きく分けて3つあります。
理由① 寒暖差が、体を疲れさせる
春は、1年のうちでもっとも気温差が大きい季節です。朝晩は冷え込むのに、日中は20℃近くまで上がる。そんな日も珍しくありません。
この寒暖差に対応するため、体は交感神経をフル稼働させて体温を調節しようとします。その結果、交感神経がずっと優位な「緊張状態」が続き、自律神経が疲弊してしまうのです。
1日の寒暖差が7℃以上あると、体は体温調節にエネルギーを多く消費し、自律神経に負担がかかるとされています。春はこの寒暖差が10℃を超える日も多く、体にとっては「見えない疲労」が蓄積しやすい時期です。
理由② 気圧の変動が、体内のセンサーを揺さぶる
春は低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わる季節でもあります。この気圧の変化を感知するのが、耳の奥にある「内耳」というセンサー。
内耳が気圧変動をキャッチすると、その情報が自律神経に伝わり、めまいや頭痛、だるさといった不調を引き起こすことがあります。いわゆる「気象病」「天気痛」と呼ばれるものです。
理由③ 新生活のストレスが、心にも影響する
子どもの進級・入学、保育園や学校の行事、パートのシフト変更。春は生活環境そのものが変わりやすい時期です。
環境の変化は、知らず知らずのうちにストレスとなり、自律神経のバランスを崩す要因になります。ワクワクする変化であっても、体にとっては「対応しなければいけない刺激」であることに変わりはありません。
春は気温の変化に対応するために交感神経が優位な状態が続きやすく、「疲れがたまりやすい」「免疫力が下がる」「胃腸の働きが落ちる」「寝つきが悪くなる」などの症状があらわれやすくなるとされています。
ここに「子育てママの睡眠不足」が重なると

春の自律神経の乱れは、誰にでも起こりうるもの。でも、子育て中のママは、さらにもうひとつ、大きなハンデを抱えています。
それが「慢性的な睡眠不足」です。
夜間の授乳、子どもの夜泣き、寝かしつけの後の家事、翌日の準備。「まとまって眠れない」こと自体がストレスとなり、さらに自律神経を乱すという悪循環が生まれやすくなります。
春の寒暖差 × 慢性的な睡眠不足。この2つが重なったとき、体は静かにSOSを出しています。
こんなサイン、心あたりはありませんか?
春に自律神経の乱れと睡眠不足が重なると、次のような症状があらわれやすくなります。
| カテゴリ | 症状の例 |
|---|---|
| 体の不調 | だるさが抜けない、肩こり・首こり、頭痛、めまい、手足の冷え |
| 眠りの不調 | 寝つきが悪い、眠りが浅い、朝すっきり起きられない |
| 心の不調 | イライラしやすい、涙もろくなる、やる気が出ない、気分が沈む |
| 胃腸の不調 | 食欲がわかない、胃がもたれる、お腹の調子が不安定 |
「春だから仕方ない」「疲れてるだけ」と見過ごしがちですが、これらは体が「もう少し休みたい」と伝えているサインかもしれません。
大切なのは「長く寝る」ことより、「眠りの質」を変えること

ここまで読んで、「じゃあもっと寝なきゃ」と思った方もいるかもしれません。でも、子育て中に睡眠時間を増やすことが難しいのは、誰よりもご自身がよくわかっているはず。
だからこそ、この記事で提案したいのは「睡眠の時間」ではなく「睡眠の質」を変えるという考え方です。
ポイントは、寝る前のほんの少しの時間で、交感神経から副交感神経への「スイッチの切り替え」をやさしく手助けしてあげること。体が「休んでいいんだよ」と感じる時間をつくることで、短い睡眠でも深く休めるようになります。
人の体は、深部体温(体の内部の温度)が下がるときに眠気を感じるようにできています。寝る前に一度体を少しだけ温めてあげると、その後の体温低下がスムーズになり、自然な眠りにつきやすくなります。
寝る前の「10分」でできる、5つのやさしい習慣

子どもを寝かしつけたあとの、ほんの10分間。その過ごし方を少し変えるだけで、自律神経の「夜モードへの切り替え」がやわらかく始まります。
全部やる必要はありません。「これならできそう」と思えたものをひとつだけ、試してみてください。
① ゆっくり息を吐く「深呼吸」を3回だけ
呼吸は、自律神経に自分の意思で働きかけられる数少ない方法のひとつです。
とくに「息を吐く時間を長くする」ことで、副交感神経が優位になりやすくなるといわれています。ハーバード大学のアンドルー・ワイル博士が提唱した「4-7-8呼吸法」が有名ですが、もっとシンプルでも大丈夫です。
やり方(かんたんバージョン)
- 鼻から4秒かけて、ゆっくり息を吸う
- 7秒間、そっと息を止める
- 口から8秒かけて、ふーっと長く吐き出す
これを3回くりかえすだけ。布団の中でもできます。「完璧にやらなきゃ」と思わなくて大丈夫。ゆっくり息を吐くことだけ意識してみてください。
② スマホを置いて、手のひらで「目元」を温める
寝る直前までスマホを見ていると、ブルーライトの刺激で交感神経が活発なまま。脳が「まだ昼間だ」と勘違いしてしまいます。
おすすめは、手のひらを10秒ほどこすり合わせて温かくし、そのまま閉じた目の上にそっとあてる方法。ホットアイマスクの代わりになり、目元を温めることで副交感神経のスイッチが入りやすくなります。
理想は寝る1時間前からスマホを手放すこと。難しい場合は、画面の明るさを落とすだけでも違いがあります。
③ 38〜40℃のぬるめのお湯に、短くてもつかる
シャワーだけで済ませがちな忙しい日も、38〜40℃程度のぬるめのお湯に10分ほどつかるだけで、深部体温がじんわり上がります。入浴後に体温が下がっていく過程で、体は自然と「おやすみモード」に切り替わります。
42℃以上の熱いお湯は逆に交感神経を刺激してしまうため、「ちょっとぬるいかな」と感じるくらいがちょうどいい温度です。
入浴は就寝の1〜1.5時間前がベストタイミング。入浴後に深部体温が下がりきるタイミングとちょうど重なり、自然な眠気が訪れやすくなります。
④ 首のうしろを、じんわり温める
自律神経は、首まわりに多く集まっています。首のうしろを温めることで、副交感神経の働きを助けることができるといわれています。
濡らしたタオルをレンジで30秒ほど温めて、首の後ろにあてるだけでOK。お風呂に入る余裕がない日でも、この「ホットタオル」だけで体がふわっとゆるむのを感じられるはずです。
⑤ 今日の「よかったこと」をひとつだけ思い浮かべる
これはちょっと意外に思われるかもしれません。でも、寝る前に不安や心配ごとを頭の中でぐるぐる考えてしまうと、交感神経が活発な状態が続いてしまいます。
代わりに「今日、ひとつだけよかったこと」を思い浮かべてみてください。子どもが笑ってくれたこと、ごはんがおいしかったこと、洗濯物がよく乾いたこと。どんなに小さなことでもかまいません。
ポジティブなことを意識するだけで、脳のモードがそっとゆるみ、副交感神経への切り替えを後押ししてくれます。
「全部やること」が目的ではありません。今夜、ひとつだけ試してみること。それだけで十分です。
「ちゃんとやらなきゃ」を、そっと手放す

ここまで読んでくださったあなたは、きっと日々、家族のために一生懸命に動いている方だと思います。
だからこそ、こういう健康情報を読むと「やらなきゃいけないことがまた増えた」と感じてしまうかもしれません。
でも、この記事で伝えたかったことは「あれもこれもやりましょう」ではないんです。
春に体がだるいのも、夜なかなか眠れないのも、あなたが怠けているからでも、がんばりが足りないからでもありません。春という季節そのものが、体に負担をかけている。そして、毎日子育てをしながら走り続けている体は、想像以上にがんばっている。
まず、それを知ってもらえたらうれしいです。
がんばれない日があっていい。体が「休みたい」と言っているなら、今日はそれに従ってあげてください。
最後に

春のだるさや眠りの浅さには、ちゃんと理由があります。そしてその理由を知るだけで、「自分の体に起きていること」への不安が、少しだけやわらぐのではないでしょうか。
寝る前の深呼吸、ぬるめのお湯、首元のホットタオル。どれも、ほんの数分でできる小さなことばかりです。全部やらなくていい。今夜、ひとつだけ。それだけで、明日の朝が少し変わるかもしれません。
自然派ライフでは、これからも「暮らしの中で、そっと自分を整えるヒント」をお届けしていきます。健康のこと、食のこと、多摩エリアの暮らしに寄り添う情報も、ゆるやかに発信していく予定です。
がんばっているあなたの毎日が、少しでも心地よいものになりますように。