記事概要
- 「無添加」と「○○不使用」は意味がまったく違う
- 「無添加」の3文字だけでは、何が無添加なのか実はわからない
- 表示には3つの「カラクリ」がある(類似添加物・表示免除・曖昧な基準)
- 2024年4月から消費者庁のガイドラインが厳格化された
- 裏ラベルの「スラッシュ(/)」の読み方を覚えれば、自分で判断できる
- 怖がる必要はない。知っているだけで、食品選びは変わる
「無添加」の文字に、なんとなく安心していませんか?

スーパーで買い物をしているとき、パッケージに大きく書かれた「無添加」の文字。
なんとなく安心して、つい手に取ってしまう。そんな経験、ありませんか?
「無添加って書いてあるんだから、添加物は入っていないでしょ?」と思うのは自然なこと。でも、実はその「無添加」、何が無添加なのかはパッケージの表側だけではわかりません。
それどころか、「無添加」と表示されている食品の原材料欄をよく見ると、しっかり添加物が記載されていることがあります。
「え、嘘ついてるの?」
いいえ、嘘ではありません。でも、そこには知っておきたい「カラクリ」があります。
「無添加」と「○○不使用」実は意味がまったく違う

「無添加」=何を添加していないのか不明
まず押さえておきたいのが、「無添加」という言葉には、法律上の明確な定義がないということです。
「無添加」とだけ書かれた場合、保存料が無添加なのか、着色料が無添加なのか、それとも食品添加物すべてが無添加なのか、消費者には判断できません。
実際、消費者庁のガイドラインでも、対象を明示せずに単に「無添加」と表示することは、消費者に誤認を与えるおそれがある表示として問題視されています。
「○○不使用」=特定の添加物を使っていないだけ
一方、「保存料不使用」「着色料不使用」のように、何が不使用なのかを明示した表示が「○○不使用」です。
こちらは対象が明確なぶん、わかりやすい。ただし、ここに落とし穴があります。
「保存料不使用」は、あくまで保存料を使っていないという意味。着色料、甘味料、酸化防止剤など、保存料以外の添加物は入っている可能性があります。
「保存料不使用」=「添加物ゼロ」ではありません。 特定の添加物を使っていないという意味であって、他の添加物が入っていないとは言っていないのです。
なぜこんなことが起きる?表示の「3つのカラクリ」

「無添加って書いてあるのに添加物が入っている」「不使用って書いてあるのに安心できない」
これには、食品表示の構造的な仕組みが関係しています。ここでは、特に知っておきたい3つのカラクリを紹介します。
カラクリ①:「保存料不使用」でも、似た働きの別の添加物が入っていることがある
たとえば、ハムやソーセージで「保存料不使用」と表示されている商品。保存料(ソルビン酸カリウムなど)は確かに使っていません。
でも、原材料欄を見ると、日持ち向上の効果が期待できる別の添加物(たとえばグリシンや酢酸ナトリウムなど)が使われていることがあります。
これは嘘ではありません。「保存料」という分類の添加物は使っていない。でも、似た機能を持つ別の添加物で日持ちを確保している。消費者から見ると「保存料不使用なのに、結局似たようなものが入ってるじゃん」という話です。
消費者庁のガイドラインでは、これを「類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示」として、誤認を与えるおそれのある表示に分類しています。
カラクリ②:表示しなくていい添加物がある
食品表示法では、原則としてすべての食品添加物を表示する義務があります。でも、例外があります。
それが「キャリーオーバー」と「加工助剤」です。
キャリーオーバーとは、原材料を作るときに使われた添加物が、最終商品にはごく微量しか残らず、効果を発揮しないもの。たとえば、醤油に使われた保存料が、その醤油を使った煮物には微量すぎて保存効果がない場合、煮物のパッケージには表示しなくてよいとされています。
加工助剤とは、製造工程で使われるけれど、最終商品には残らない(または残っても微量な)もの。たとえば、豆腐を作る際に使われる消泡剤などがこれにあたります。
つまり、パッケージの原材料欄に書かれていない添加物が、製造過程で使われている可能性があるということ。
「無添加」と表示されている商品でも、キャリーオーバーや加工助剤として添加物が使われている(が表示免除されている)場合があります。 消費者庁のガイドラインでも、これを確認せずに「無添加」と表示することは問題があるとされています(類型9)。
カラクリ③:以前は、「無添加」と書くルールが曖昧だった
実は2022年3月以前は、「無添加」「○○不使用」の表示に関する明確なルールがほとんどありませんでした。
食品表示法では「使用した添加物はすべて表示すること」というルールはありましたが、「使っていない添加物について何と書くか」については、事業者の判断に委ねられていた。
その結果、事業者によって「無添加」の解釈がバラバラ。ある会社は保存料だけを指して「無添加」と表示し、別の会社はすべての添加物を指して「無添加」と表示する。こういう混乱が起きていたのです。
同じ「無添加」の3文字でも、メーカーによって意味が違っていた。これが、消費者が混乱する最大の原因でした。
2024年4月、「無添加」表示のルールが変わった

こうした混乱を受けて、消費者庁は2022年3月に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定。2年間の移行期間を経て、2024年4月から本格適用されました。
このガイドラインでは、消費者に誤認を与えるおそれのある表示を10の類型に分けて整理しています。すべてを覚える必要はありませんが、買い物で役立つポイントを3つだけ押さえておきましょう。
① 単なる「無添加」だけの表示はNG
何が無添加なのかを明示しない「無添加」表示は、消費者が自分で推察するしかなく、誤認のおそれがあるとされました(類型1)。
②「人工甘味料不使用」などの表現もNG
「人工」「合成」「化学」「天然」といった用語は、現在の食品表示基準では使用されていません。これらを使った表示(例:「人工甘味料不使用」「合成着色料無添加」)は、消費者に誤った印象を与えるおそれがあるとされました(類型2)。
③ 「無添加だから安全」という関連づけもNG
食品添加物はそもそも国が安全性を評価したうえで使用を認めているもの。「無添加=安全」「無添加=体にいい」と関連づける表示は、事実に基づかない誤認を生むとされました(類型6)。
このガイドラインは、無添加表示を一律に禁止するものではありません。本当に添加物を使用しておらず、消費者に誤解を与えない表示であれば、「○○不使用」と記載すること自体は問題ありません。ポイントは「曖昧な表示で消費者を惑わせない」ということです。
じゃあ、どうやって選べばいいの?裏ラベルの見方

ここまで読んで、「じゃあ何を信じればいいの?」と感じた方もいるかもしれません。
答えはシンプルです。パッケージの表側ではなく、裏側の「原材料欄」を見ること。
見方のコツは、たった一つ。
原材料欄の「/(スラッシュ)」を探してください。
食品表示基準では、原材料と食品添加物は「/」で区切って表示するルールになっています。つまり、スラッシュの前が原材料、スラッシュの後ろに書かれているものがすべて食品添加物です。
たとえば、あるハムの原材料欄がこう書かれていたとします。
豚肉(国産)、食塩、砂糖、香辛料 / 調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na)、酸化防止剤(ビタミンC)、発色剤(亜硝酸Na)
この場合、「/」の後ろにある4つが食品添加物です。パッケージの表に「保存料不使用」と書いてあっても、保存料以外の添加物はしっかり入っていることがわかります。
確認のステップはたった2つ。① 裏ラベルの原材料欄を見る。②「/(スラッシュ)」の後ろを読む。 これだけで、パッケージの表側の印象に振り回されなくなります。
逆に、スラッシュの後ろに何も書かれていない(または「/」自体がない)商品は、食品添加物を使用していない商品です。こういう商品を選びたい方は、「/」がないものを探す、という基準が一番シンプルでわかりやすいかもしれません。
「知っている」だけで、選び方は変わる

ここまで「カラクリ」という言葉を使ってきましたが、誤解しないでほしいのは、食品添加物そのものが「悪」というわけではないということです。
食品添加物は、国の食品安全委員会が安全性を評価し、人の健康を損なうおそれがないと判断されたものだけが使用を認められています。保存料のおかげで食中毒が減り、遠方への流通が可能になり、食品ロスの削減にもつながっています。
問題なのは、添加物そのものではなく、「無添加」という曖昧な言葉に振り回されてしまうこと。
「無添加」の表示だけを見て安心するのではなく、裏ラベルを見て「何が入っていて、何が入っていないか」を自分の目で確認する。それだけで、買い物のストレスはぐっと減ります。
すべての添加物を避ける必要はないし、すべての原材料を暗記する必要もありません。
「スラッシュの後ろを見る」。
まずはそれだけで十分です。知っているだけで、選び方は変わる。怖がるのではなく、知ることから始めてみませんか。
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