ホーム 健康になる過ごし方 あなたの食卓に届くまでに、食材はどれだけ「旅」をしているのか 

2026.03.31

あなたの食卓に届くまでに、食材はどれだけ「旅」をしているのか 

この記事でわかること

  • 食材の「移動距離」を数値化する「フードマイレージ」という考え方
  • 日本のフードマイレージが世界最大である理由
  • 地産地消が環境にやさしい、具体的な根拠
  • 環境だけじゃない、地産地消の3つのメリット
  • 「選べるときに地元を選ぶ」から始める、ゆるい実践のヒント

今日の食卓に並んだもの、どこから来たか知っていますか?

朝のトーストに使った小麦は、カナダやアメリカから。お昼のパスタに使ったオリーブオイルは、イタリアやスペインから。夕食の鮭は、チリやノルウェーから。

わたしたちが毎日なにげなく食べているものは、想像以上に長い「旅」をして食卓に届いています。スーパーに並んでいると気づきにくいけれど、その食材が収穫されてからあなたの手に届くまでには、船に揺られ、トラックで運ばれ、何千キロもの距離を移動しています。

その「旅」の距離を、数字で見える化したものがあります。

「フードマイレージ」って何だろう?

フードマイレージとは、食料の「輸送量(トン)」×「輸送距離(キロメートル)」で算出される指標です。もともとはイギリスで生まれた「フードマイルズ」という概念をもとに、日本の農林水産省の研究者が独自に計測・提唱したものです。

たとえば、アメリカから小麦を100万トン輸入し、その距離が9,000kmだとすると、フードマイレージは「100万 × 9,000 = 90億 t・km」になります。

この数字が大きいほど、食料を届けるために多くのエネルギーが使われ、CO2がたくさん排出されている、ということ。つまりフードマイレージは、「あなたの食卓がどれだけ地球に負荷をかけているか」を映す鏡のような指標です。

フードマイレージ = 食料の輸送量 × 輸送距離。数字が大きいほど、輸送によるCO2排出量が多いことを意味します。

地産地消にすると、何がどう変わるのか

では、食材を「近くから届くもの」に変えると、実際にどのくらい環境への影響が変わるのでしょうか。

農林水産省の参考資料で紹介されている国内研究によると、野菜の地産地消を進めた場合、輸送時のCO2排出量は全体で約10%削減されるという試算があります。

10%という数字は、一見するとそこまで大きくないように感じるかもしれません。でもこれは、特別な技術や設備投資が不要で、「買い物で地元産を選ぶ」というだけで達成できる削減効果です。個人の行動で輸送CO2を1割減らせるなら、それはかなり大きな一歩です。

さらに、地産地消には環境面以外にも見逃せないメリットがあります。

環境だけじゃない。地産地消がもたらす3つのいいこと

① 食材が新鮮でおいしい

輸送距離が短いということは、収穫から食卓に届くまでの時間も短いということ。野菜や果物は、採れたてに近いほどビタミンなどの栄養価が高く、味も鮮やかです。旬の地元野菜を直売所で買った経験がある方なら、その違いを実感したことがあるかもしれません。

② 生産者の「顔」が見える安心感

地元の食材は、生産者との距離が近い。直売所に行けば「誰が作ったか」がわかるし、栽培方法について直接聞くこともできます。「顔が見える」という安心感は、食品表示だけでは得られないものです。

③ 地域の経済が回る

地元で買い物をすれば、そのお金は地元の生産者や事業者に届きます。生産者の経営が安定すれば、農地や里山の維持にもつながる。地域の食文化や風景を守ることにも、間接的に貢献しています。

メリット内容つながる効果
新鮮さ輸送時間が短い → 鮮度・栄養価が高いおいしさ、健康
安心感生産者の顔が見える → 栽培方法がわかる食の安全、信頼
地域経済お金が地元に循環 → 生産者の経営安定農地・食文化の維持

地産地消は、環境・食卓・地域をつなぐ、小さくて確かな循環。

完璧じゃなくていい。「選べるときに、地元を選ぶ」

ここまで読んで、「じゃあ輸入品はもう買っちゃダメなの?」と思った方もいるかもしれません。もちろん、そんなことはありません。

日本の食料自給率を考えれば、すべてを地元産でまかなうのは現実的ではないし、海外の食材にはその土地ならではのおいしさや文化があります。大切なのは、「全部を変えること」ではなく、「選べる場面で、ちょっと意識してみること」。

たとえばこんな小さなことから。

スーパーで野菜を選ぶとき、産地ラベルをちらっと見てみる。同じトマトが並んでいたら、近い産地のものを手に取ってみる。週末に地元の直売所をのぞいてみる。

それだけで、あなたの食卓に届く食材の「旅の距離」は少しだけ短くなります。

地産地消は「全か無か」ではない。選べるときに地元を選ぶ、それだけで十分。食材の旅の距離を「ちょっとだけ短くする」ことが、環境にも食卓にもやさしい一歩になります。

おわりに

食材がどこから来て、どれだけの距離を旅してきたのか。ふだんはあまり意識しないことかもしれません。でも、一度知ってしまうと、スーパーの産地ラベルがちょっとだけ気になるようになります。

それでいいと思います。

がんばって地元産だけを買うのではなく、「あ、こっちは地元のだ」と気づいて、なんとなく手に取る。その小さな選択が積み重なって、食材の旅を短くし、CO2を減らし、地元の生産者を支えることにつながっていく。

暮らしの中のやさしい選択は、いつも静かに始まるものです。

自然派ライフでは、暮らしと環境のつながりを「知ると、ちょっとうれしい」くらいの温度感でお届けしています。完璧を目指すのではなく、自分のペースでできることから。これからも一緒に、小さなやさしい選択を楽しんでいけたらうれしいです。

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